2026.6.30.

私が秋田で開業した理由

今回は、私が秋田で開業した理由についてお話ししたいと思います。

東京で25年臨床をやってきました。現在もなお東京と秋田の二拠点で臨床を続けていますが、なぜ秋田なのか?これは、多くの人から問われたことでした。実際、東京での仕事は多忙を極めており、多い時は110件以上、1ヶ月で200数十件の面接を行なっていました。現在は少し減らしているものの、それでも毎日9件前後の面接を行なっています。

「そのまま東京でやっていればいいのに」「なぜそれだけのキャリアがあって秋田でやるんですか?」ということを何度も言われました。確かに、それも一理あるかもしれません。しかし、私にはどうしてもやりたいことがありました。それは、秋田の人々の素晴らしいポテンシャルを引き出したい、ということでした。

秋田の人口減少問題や、少子高齢化、貧困や市街地クマ問題など、地域課題はたくさんあります。しかし、そのような状況であっても、秋田の人は我慢強いですし、何より根が明るいのです。高校卒業後、秋田を離れ首都圏で長く生活していましたが、外から見た秋田は、私が生活していた頃とは全く違うように見えました。意外にも、といったら失礼になりますが、他県の人から秋田出身者の評価が高く、たくさんの好意的な言葉を耳にしてきました。例えば、尊敬する先輩が秋田出身であったとか、過去に採用した優秀な人は秋田出身だったとか、食べ物が美味しい、スキー場の雪質が良い、夕陽が美しすぎるなど・・・とにかく高評価だったのです。これをまた大いに喜んでしまう私も秋田県人だなと思うわけですが。

そうはいっても、私も東京で多忙な日々を送っていましたし、秋田には私が希望する仕事はないだろう、ということで、秋田に戻ることは全く考えず長年過ごしてきたわけですが、その私の生活に大きな変化をもたらしたのが、近年のSNSの発展でした。

とある趣味がきっかけでSNSをやるようになったのですが、そのうちに、秋田出身の方を見つけると嬉しくなってフォローするようになると、秋田にお住まいの方々の投稿を目にする機会が急速に増えるようになります。そこには、私の知らない秋田の良い所や、秋田で前向きに頑張る人々の姿や、新しいことに挑戦する人々の斬新なアイデアがたくさんありました。それに触れていくうちに、私は“他県在住者”としてすっかり秋田の魅力の虜になったわけです。

それからは毎月のように秋田に遊びにいくようになり(あえて「帰省」ではなく「遊びに」です)、観光を満喫しました。私の関係人口としての始まりはこの辺りからになります。そんなことをしているうちにふと思ったのですが、現在はオンラインのカウンセリングや講座も普通に行われるようになり、今なら秋田で私にできることがあるのではないだろうか?と考えたのです。

秋田にはまだカウンセリングを受ける文化がそれほど浸透していません。そのため、仮に本格的なカウンセリングを受けたいと思っている人がいたとしても、選択肢が非常に少ないのではないかと思ったのです。

同時に、様々な立場で対人支援を行っている方々が秋田にもたくさんいらっしゃるかと思いますが、この方々が、困難な事例に直面した時や、どうやってスキルアップをはかろうかと考えた時に、気軽に相談できる機会はあるのだろうか?と考えると、きっと首都圏に比べると少ないのではないかと思いました。私自身の経験からも、支援をする方こそ、困った時にすぐに相談できる環境は非常に大切だと思っています。結果、それが要支援者の利益になるからです。

 

そこで私がやりたかったことは、東京で培った経験やスキルを秋田に還元したいということと、現在も東京で現役で仕事をしている立場から、最新の心理臨床を即時秋田で活用する仕組みを作りたい、ということです。
秋田出身で、秋田の言葉や文化にも比較的慣れ親しんでいる立場から、首都圏のノウハウを地元に運ぶ、という役割を担ってみたいのです。

また、もう一つ重要なことは、秋田、つまりは地方だからこそ見えること、地方での経験から得られることを首都圏に運ぶという点です。地方だからこそ面白いことがある、地方にしかできないことがある、地方ならではの強みがある、ということも以前から体感しています。首都圏在住の人がある年齢で地方移住を考える理由はおそらくここにあります(もちろん私もその1人です)。
双方の課題と努力を共有し、双方の知恵を集結して、この国全体が明るく良い方向に向かっていく、ということが私の理想です。

 

日本各地を訪れてきて、これだけは確実に言えることなのですが、秋田の子どもたちは本当に賢いです。そして、現実に、首都圏や世界で大活躍している秋田出身者は数多くいらっしゃいます。もちろん、良く見えるところだけではなく、実際には過酷でかつ残酷な日常も多々あります。私は、とにかく秋田の人々が本来の姿で輝けるように心理の専門家としてサポートする業務に携わりたい、そして、秋田が活気付き、他県から秋田が羨ましがられるような地域になるよう貢献することが夢です。

私が掲げているのは「秋田を元気に、秋田から元気に!」です。そして、カウンセリングを受けて人々が変化していく様子を見ることが大好きです。お話を聞くことはもちろんカウンセラーとして大事なことですが、私としては結果にこだわる臨床を行いたいと思っています。これは、この仕事を始めた頃から変わらない目標です。

 

「秋田から元気に」を掲げる以上、対象は県内在住者に限らず、オンライン相談も活用し、全国の方々に利用していただけるよう努めていく所存です。私を通して、他県在住の方が秋田に興味関心を持ち、この地を訪れてみたいと思っていただけたらこの上ない幸せです。

最近、県政も市政も若いリーダーになりましたが、秋田はきっと変わっていきます。そのために、私もまだまだ研鑽していきたいと思っております。

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